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許容支持力度の算定
| (1)許容支持力度qa算定式(標準貫入試験用) |
以下に示す式は、直接基礎を採用する際、地盤の支持力度がどれくらいあるかを
標準貫入試験などで得た内部摩擦角や粘着力の値から求める場合に使用する式です。
杭基礎を対象にした式ではありませんし、内部摩擦角や粘着力がわかっていないと計
算できません。一方で、標準貫入試験から得ることのできるデータはN値なのですが、
N値から内部摩擦角や粘着力を求める経験式が整備されているので、結局は標準貫
入試験のデータがあればこの式を使用することができます。
長期 qa=
(ic・α・c・Nc+ir・β・γ1・B・η・Nγ+iq・γ2・Df・Nq)
短期 qa=
(ic・α・c・Nc+ir・β・γ1・B・η・Nγ+
iq・γ2・Df・Nq)
| qa | 許容支持力度(kN/m2) |
| ic,ir,iq | 荷重の傾斜に対する補正係数 ic=iq=(1−θ/90)2 ir=(1−θ/φ)2 θ:荷重の傾斜角(度) φ:土の内部摩擦角(度) 荷重の傾斜がない場合は、ic,iq,irは1 |
| C | 基礎底面下の粘着力(kN/m2) |
| Nc,Nγ,Nq | 支持力係数 Nq=(1+sinφ)/(1-sinφ)・e(πtanφ) ←(πtanφ)はeの指数 Nc=(Nq-1)・cotφ Nγ=(Nq-1)・tan(1.4φ) φは上記と同じ |
| γ1 | 基礎底面下の土の単位体積重量(kN/m3)【表1】 |
| γ2 | 基礎底面より上の土の単位体積重量(kN/m3)【表1】 |
| α,β | 形状係数【表2】 |
| Df | 基礎に近接した最低地盤面から基礎底面までの深さ(m) |
| B | 基礎幅(m) |
| η | 基礎の寸法効果による補正係数 η=(B/B0)-1/3 B:基礎の短辺幅(m) B0:基準幅(ここでは1mとします) |
| 地盤 | γ(kN/m3) | γw(kN/m3) |
| 粘性土 | 16 | 6.2 |
| 砂質土 | 18 | 8.2 |
| 基礎の形状 | 連続 | 正方形 | 長方形 | 円形 |
| α | 1.0 | 1.2 | 1.0+0.2・(B/L) | 1.2 |
| β | 0.5 | 0.3 | 0.5-0.2・(B/L) | 0.3 |
| ◆標準貫入試験結果によるqaの計算方法 |
このqa算定式には、足し算で区分けされている項ごとにそれぞれの意味があります。
qa=
(ic・α・c・Nc+ir・β・γ1・B・η・Nγ+iq・γ2・Df・Nq)
第1項 icαcNc ……主として粘性土の土質に関する項
第2項 irβγ1BηNγ……主として砂質土の土質に関する項
第3項 iqγ2DfNq ……土の押さえ効果に関する項
粘性土に関する項・砂質土に関する項とは、1項では式に粘着力cがあり、2項の中に
あるNγは内部摩擦角φを考慮しなければ0になることから来るものです。
というのも、実際に計算するときは砂質土のときは粘着力cを0、粘性土のときは内部
摩擦角φを0として計算するのが一般的なので、砂質土のときは第1項が無くなり、粘性土
のときは第2項が無くなくなるのです。
土の押さえ効果(Df効果)とは、基礎が地盤に埋まっている場合、基礎が沈下して破壊
するときに周囲の土を押し上げようとするため、結果的に基礎の埋まっている深さ(Df)と
その単位重量(γ2)分が、基礎を間接的に支える役目をもつ効果のことです。ただしこの
効果を見込むには、将来にわたって周囲の地盤がそのままの状態であることが確実な場合
だけで、市街地など土工事される可能性がある場合は、この効果を低減したり、または考
慮しない方が望ましいとされています。また、土の押さえ効果は短期の場合でも割増し
しないという大原則があります。よってDf効果を考慮した場合、短期は長期の2倍という考え
が成り立たず、もう一度算定式から計算し直す必要があります。
これらの話をまとめると、Df効果を考慮せず荷重傾斜のない一般的な状態の場合、
粘性土 qa=
αcNc
砂質土 qa=
βγ1BηNγ
という、全く単純な式で求められるようになります。ただ、上記の分類の仕方を見ればわかる
ように、この計算式は土質が特定されていることが絶対条件ということになります。
では、砂質土のときの内部摩擦角と粘性土のときの粘着力は、どのようにして得られるの
でしょうか。それを見ていきましょう。
1) N値 → 内部摩擦角(砂質土)
![]()
φ:内部摩擦角 (度) ただしφ≦40°
N:N値
これは、N値と内部摩擦角のデータから得た経験による式で、大崎式と呼ばれています。
このようなN値から内部摩擦角を求める式は、様々な人がいくつかの式を提案しています。
大崎式は安全側の数値が出るので通常はこれで計算しますが、N値があまりにも小さい数値
の場合(N値が5以下)は過小になってしまうので、その点は注意が必要です。
そのようなN値の小さな砂質地盤の場合は、以下の式を使う場合もあります。

σv: 有効上載圧(kN/m2)
N: N値
この式は、地盤にかかる上載圧を考慮した式になっており、その上載圧の値が高いほどφは
低くなるのですが、それでもN値が10くらいまでは大崎式より高い内部摩擦角の値が求められ
ます。
なお、この式は鉄道構造物等設計標準に記載されている(この本では、上記式の"+28"が
"+26"になっており、結果として提案者が提案した式より2°軽減されている)もので、鉄道関
係の構造物などで用いられていますが、建築でもN値が5以下の場合は、この式の採用を検討
してもいいかもしれません。
ちなみに、σvは100kN/m2くらいは見込んでおいた方がいいでしょう。
これらの式を用いてN値から内部摩擦角を求め、Nc,Nγ,Nqの値を得ることができます。
Nc,Nγ,Nqの計算式は複雑なので、以下に内部摩擦角→Nc,Nγ,Nqの一覧表と
N値→Nc,Nγ,Nqの一覧表(2種類)を示します。計算が面倒という人は、これをコピーするなど
してお使いください。(ブラウザによっては項目の位置がずれるかもしれません。)
2) N値 → 粘着力(粘性土)
粘性土の正確な粘着力を知るためには、1軸圧縮試験という力学試験を行う必要が
あります。しかし、この試験を行うためには乱れていない試料を用意する必要があるので、
場合によっては試験を行うことが難しいこともあります。その時は、N値より粘着力を推定
する式を用います。一軸圧縮強度と粘着力は、以下のような関係にあります。
C=qu/2
C: 粘着力 (kN/m2)
qu:一軸圧縮強度 (kN/m2)
また、一軸圧縮強度とN値には、以下のような関係があります。
qu=12.5N
N: N値
よって、N値と粘着力の間には C=12.5N/2=6.25N という関係が成り立ちます。
例題1) 標準貫入試験結果による長期許容地耐力の計算
条件:
土質 砂質土(細砂)
基礎形式 独立基礎(長方形−2m×3m)
基礎レベル GL−3.0m(柱状図内の斜線の図)
N値 N=15
【柱状図】
基礎幅の2倍の範囲内で最も小さいN値15を採用します。
砂質土により粘着力を無視し荷重の傾斜はないので、算定式は
qa=
(βγ1BηNγ+γ2DfNq)
となります。
・形状係数β(【表2】より)
β=0.5-0.2・(B/L)
=0.5-0.2・(2/3)=0.37
・単位体積重量γ1 γ2
基礎底面下の重量γ1=18 (細砂、【表1】より)
基礎底面上の重量γ2=16 (粘土、【表1】より)
・内部摩擦角から支持力係数を求める(上の一覧表にのってますが、ここでは
計算してみます)。
![]()
=32.32
支持力係数の表から直線補間を行う。
Nγ=22.0+(26.2-22.0)*(32.32-32)=23.3
Nq=23.2+(26.1-23.2)*(32.32-32)=24.1
・基礎の寸法効果による補正係数η
η=(B/B0)-1/3 =2(-1/3)=0.79
1) Df効果をGLの高さから見込む場合
qa=1/3(0.37×18×2×0.79×23.3+16×3×24.1)=467→ 460(kN/m2)
2) Df効果をGL-2.0mから見込む場合
qa=1/3(0.37×18×2×0.79×23.3+16×1×24.1)=210→ 210(kN/m2)
3) Df効果を無視する場合
qa=1/3(0.37×18×2×0.79×23.3)=81.7→ 80(kN/m2)
1〜3のqaは、最後にある程度割り引いて数値を丸めています。土はなにが起こるか全く
分からないので、このように常に安全側の数値にする方が無難です。
計算結果を見てお分かりのように、Df効果の影響が大きいことが一目瞭然です。逆に言
えば、安易なDf効果の評価は、危険な結果を招きかねない状態になるということです。
| (2)許容支持力度qa算定式(平板載荷試験用) |
長期 qa=qt+
N'γ2Df
短期 qa=2qt+
N'γ2Df
| qt | 平板載荷試験より求まる支持力(kN/m2) | ||||||
| N' | 基礎荷重面下地盤の内部摩擦角によって定まる係数
|
||||||
| γ2 | 基礎底面より上の土の単位体積重量(kN/m3) | ||||||
| Df | 基礎に近接した最低地盤面から基礎底面までの深さ(m) |
このうち、平板載荷試験の結果による値はqtのみで、後ろの項はDf効果を表すものです。
よって、Df効果を無視する場合は、qa=qt(長期), qa=2qt(短期) になります。
平板載荷試験の場合は、標準貫入試験と違い直接荷重を掛けて試験をしているので、
ほとんど計算が不要ということも当然と言えます。
試験の結果からqtを得る方法は
1) 降伏荷重度の1/2
2) 極限応力度(極限支持力度)の1/3
3) 最大載荷荷重の1/3
これら1〜3のうち最も小さい値を採用することになっています。告示では1と2しか書か
れていませんが、試験の性質上3も必要になってきます(後述)。
| 平板載荷試験の方法について 平板載荷試験は、概要の部分でもお話した通り、実際に基礎が載る地盤に直接荷重をかけて調査するものです。ただ、実際には先に必要な地耐力を計算してそこから逆算して加える荷重の大きさを求め、その荷重を載荷したとき地盤が耐えられるかどうかを確認する形で行います。 計算で(この時点でも余裕をみること)60kN/m2の地耐力がほしいとき、調査会社にはさらに2割余裕見て(役所で2割の余裕を求められる場合)「75kN/m2以上ほしい」といいます。すると調査会社は、載荷板の直径30cmに合わせて、試験ではどれくらいの載荷が必要かを計算します。 0.3×0.3×3.14/4×75=5.30kN qtは最大載荷荷重の1/3ですから、さらに3倍して 5.30×3≒16.0kN これだけの載荷ができるかどうかを試験で確認することになります。この試験はあまりに大規模なので、このように「得たい数値」というのをある程度絞り込んでおいて、そこを目標に試験をしていかないと、手間がかかってやってらんないのです。 載荷は5段階以上(通常は8段階程度)に分けて、最大載荷荷重に向かって徐々に増やしていくようにして載荷します。この時、沈下量が載荷板直径の10%(3cm)に達した時点での載荷を極限支持力度とします。設定した載荷を全部かけきってしまったら、それが最大載荷荷重となります。 その後データを精査していきます。特に荷重と沈下量を取ったグラフを確認し、荷重の増加に比例して増大している沈下量が急激に増大している部分があればそれに着目します。その点が降伏点となります。 結果、降伏荷重度の1/2の値と、最大載荷荷重(または極限支持力度)の1/3の値を比較して小さい方を取って最終的なqtとします。 この時、もし3の項目がなく降伏点の確認ができなければ、沈下量が3cmになるまで(極限支持力度がわかるまで)どんどん載荷荷重を増やしていかなければならなくなります。確認したい荷重を超えて載荷をしつづけるのは無意味なので、告示には書かれていませんが3の項目で決められるようになっているのです。 このような流れを経て、qtの値を得ることが出来るのです。 |
例)次の条件で許容地耐力を算出する。
条件:
土質 砂質土(細砂)
基礎形式 布基礎(幅1.5m)
基礎レベル GL−2.0m
地下水位 GL-5.0m
平板載荷試験結果より qt=60kN/m2
Df効果をGLの高さから見る場合
表より N'=6
砂質土の標準値より γ2=18kN/m3
長期: qa=60+1/3×6×18×2=132kN/m2
短期: qa=60×2+1/3×6×18×2=192kN/m2